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 1年前に世界新車販売トップに上り詰めたばかりのトヨタ自動車が09年3月期決算で59年ぶりの最終(当期)赤字に転落したのは、世界的な金融危機に伴う販売激減と円高が主因だ。住宅バブルを背景に消費ブームに沸く北米市場偏重で急成長してきただけに、米金融・経済危機の打撃は予想以上に深かった。6月には創業家の豊田章男副社長(53)がトップに就任、「原点回帰」を旗印に経営立て直しを目指すが、生産能力年産1000万台、従業員32万人の巨艦の再建は並大抵ではない。【坂井隆之、大久保渉】

 「4年前の社長就任以来、世界市場の右肩上がりの成長に乗ってきたが、昨年半ばから経営環境が激変した。足元を固めながらの成長を目指してきたが、課題解決の徹底が十分でなかった」--。6月末退任する渡辺捷昭社長は会見で、歴史的な赤字決算に悔しさをにじませた。

 増収増益を8期続け、08年3月期には売上高で米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き「製造業世界一」になったトヨタ。だが、販売台数を338万台も増やす急成長はひずみを生み、景気悪化時の打撃を増幅するリスクを高めた。

 06年秋稼働した米テキサス工場はその象徴。北米市場の大型ピックアップトラックブームに乗じて、最大排気量5・7リットルの「タンドラ」生産に乗り出したが、ガソリン高と金融危機で販売が激減。昨年8月から3カ月間操業停止し、今も「開店休業状態」(トヨタ関係者)だ。

 「地元採用の非熟練工中心で、日本の工場のようにハイブリッド車(HV)に生産を切り替えられない」(幹部)ため、人件費や維持費など経営の重荷となっている。

 トヨタにとって北米市場は、前期に世界販売の3分の1をたたき出した最大のドル箱。しかし「9割がローン販売」(自動車アナリスト)で、金融危機で新規融資停止や貸し倒れが相次ぐと、販売は冷え込み、損失拡大の温床にさえなった。

 さらにロシア、中東なども資源価格急落などで失速。09年3月期の連結販売台数は前期比134万台減の756万台に激減した。過去5年で海外生産工場を五つ新設するなど拡大主義が裏目に出て、営業利益は約1兆4800億円も吹き飛んだ。

 ◇8000億円コスト削減 エコカー拡充と両面作戦

 歴史的な業績不振に陥ったトヨタは、6月から、創業家出身の豊田章男副社長がトップに就き、巻き返しを図る。「お家芸」のコスト削減で「世界販売が700万台で利益が出る体質」に転換するとともにハイブリッド車などエコカー(環境対応車)拡大で成長を図る“二正面作戦”。

 ただ、これまで拡大一辺倒で伸び切った戦線の再構築は難題。10年3月期のトヨタの世界販売台数が計画どおり650万台なら、04年3月期(672万台)並みの水準に逆戻りする。これに対し、00年以降、生産・人員を急拡大させてきたトヨタは、従業員数が04年比1・2倍、総資産も1・5倍に増え、設備・人員の大幅な過剰は明らかだ。生産能力が1000万台弱もありながら、700万台で黒字化する方策としてトヨタ関係者は「固定費削減に大なたを振るうしかない」(業界筋)と強調する。

 系列企業も巻き込んだ原価低減や、設備投資の絞り込みで、10年3月期は8000億円のコストを浮かし、新車販売106万台減少分を穴埋めする。それでも、円高による為替差損4500億円は補えず、同3月期の営業赤字は8500億円に膨らむ。本来なら、肥大化した設備・雇用削減が不可避だが、トヨタ首脳は「設備や雇用削減には手をつけない」と慎重。それだけにハードルは高い。

 一方、販売面では、50車種超に膨らんだ商品構成を見直すとともに、ハイブリッド車を09年度中に国内外で7車種投入。従来の大型車中心の戦略を見直し、エコカーと小型車に軸足を移す。世界販売でも成長が見込める中国やブラジルなど新興国に焦点を移す。しかし、トヨタのシェアは、中国で5%台、インド・ブラジルで2%台と、独フォルクスワーゲンなどに比べ出遅れている。一方、エコカーはホンダなどが猛追し、安閑とはしていられない。

 再建をかじ取りする豊田次期社長は「過去に縛られず、変革に挑戦する」とするが、先行きは険しい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090509-00000014-maiall-bus_all
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